
くも膜下出血。
前兆は頭痛。
K先輩は倒れる前日の夕方、僕に電話で「首が痛い」といっていた。
旅行に行った仲間にも同じように電話や話してたりしたらしかった。
より仲の深い人には旅行の翌日ぐらいから相談していたらしかった。
あまりにも痛いので僕に電話があった日には針や、内科にもかかったらしかった。
首が回らないくらい痛かったそうだ。
前兆はみんな聞いていた。
内科は鎮痛剤を出したらしかった。
先輩は鎮痛剤を飲んだ夜、「調子がよくなったよ」と仲間に電話してたらしい。
そして午前3時、血管はハゼた。

前兆はみんな聞いていた。
- 2009/10/02(金) 22:18:36|
- 三本のポジフィルム
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三本のポジフィルム。
K先輩と仲間で行った旅行のフィルム。
なんど眺めてもいつも煌いている南国の景色。
フィルムに閉じ込められた時間。
先輩がいた時間。
ただ、スキャンする気になれなかった。
とにかくかばんの中には三本のスリーブになったポジフィルムをいつも入れていた。
時々なんとなしに取り出しては光に透かして見ていた。
相変わらず僕らの仲間としては見舞い自粛が出ていて
僕らはK先輩の写った写真を焼き増しなどして、先輩の家族に届けたりしていた。
そんなこんなで先輩が倒れて一週間が過ぎようとしていた。
そんな時に突然の訪問者があった。
- 2009/10/04(日) 22:49:48|
- 三本のポジフィルム
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訪問者はいきなり働いてる僕の前に現れた。
そして言った。
「ウナムさんですよね。はじめまして、さて私は誰でしょう」
なんて唐突な。
しかし僕のことをウナムさんと呼ぶっていうことと、
腕にぶら下がるGRDからブロガーさんってことは分かった。
しかし、僕のところに行きなり来れる、というか、僕の個人情報をここまで知りえる人というと・・・
僕のことをよーく知っている人と最近関係があった人に違いない。
ということで頭をフル回転させたところ、
僕のことをよーく知ってる
つもみさんから二日ぐらい前にある人に会ったと聞いたことを思い出した。
Moto-yaさんだ。
そしてそれは正解だった。
Moto-yaさんは乗っていた。ある種の波に乗っていた。
パワーが漲っていた。目が輝いていた。
それはどうやら先週の日曜日に四国である人たちに会ったことにはじまり、
何かが覚醒し、勢いでつもみさんとも会い、
そしてその波に乗ったままサプライズで僕に会いに来たらしかった。
1時間は話しただろうか。
ちょっと駐車場まで歩く間に撮影なんかもしたりした。
僕のお互いのカメラを交換して試し撮りなんかもした。
愛車に乗ってMoto-yaさんは帰っていった。
しかし、Moto-yaさんの波は確実に僕を巻き込んでいた。
K先輩のことでいっぱいになっていた僕の心に、違う水源が生まれたのを感じた。
- 2009/10/05(月) 20:21:23|
- 三本のポジフィルム
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金曜日だった。
太陽がビルの後ろに隠れようとする頃、用事があって病院に来ていた。
僕らの仲間はその日の18時から面会の自粛が解除されるはずだった。
病院の前まで来たとき、遠くで人影が動いた。
K先輩の親父さんだった。
親父さんは手招きして「Kに会ってってやってくれ」と言った。
自粛中だったが、親父さんに言われた手前、行かない理由はなかった。
エレベータで上る。
廊下を歩く
受付の前を過ぎる
右に曲がる。
先輩の個室があった。
ドアを開ける。
白い部屋があった。
先輩がいた。
そこにいた。
先輩の好きだった音楽が空気に色をつけていた。
シュコン
シュコン
シュコン
音にあわせて先輩の胸が上下していた。
先輩のまわりには僕らの写真が飾ってあった。
肌はサイパンで焼けたままの褐色で
目は開けないのに、肌だけは日焼けは剥け始めていた。
本当にただ寝てるだけのように見える。
でも口から体からいろんな管が出ていた。
ちょっと臭いもした。
体中の筋肉が重力に負けていた。
何か話しかけようかと思ったけど、またのどが熱くなって声が出なかった。
「どうよ、ヒロシ、最近コレは」とカメラを構えるポーズをする先輩の姿
「ウナムのまなざし、俺、北京のが好きだな」といっていた先輩の姿
思い出される姿
心の奥で波が騒いだ。
- 2009/10/06(火) 20:42:25|
- 三本のポジフィルム
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Moto-yaさんにあった木曜の夜、僕は動いた。
何人かの人たちに土曜か日曜に会えるか連絡を取った。
いきなりの連絡に驚いたようだったけれど無事会えることになった。
すぐにホテルをとった。
そして土曜日、いつもの柿色キューブに乗り込み、ひたすら目指した。
香川は高松。
なっちゃんに会うために。
その行動の発想は前日にK先輩に面会してから、より正しく感じられた。
[より正しく感じられた]の続きを読む
- 2009/10/08(木) 20:27:48|
- 三本のポジフィルム
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映画「世界の中心で、愛を叫ぶ」を見てきてね。
と事前に
なっちゃんに言われてたのだけど、
結局見れぬまま高松まで来てしまった。
直前過ぎたし、ビデオを借りに行く勢いがなかったから。
カフェのあとになっちゃんカーで連れてきてもらったのはそのロケ地の庵治町っていうところ。
どんな映画かはよく知らないけど
なっちゃんが泣けて泣けて一週間ばかり心に後遺症が残ったという映画を想像しながら歩く。
[笑ったりした]の続きを読む
- 2009/10/09(金) 20:52:20|
- 三本のポジフィルム
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