ウナムのまなざし

せっかく撮った写真だから、公開してみよう。 

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「三本のポジフィルム」 目次

スイカ


◆「夏の手前春の終わり
◆「外はもう暗い
◆「痺れのような実感
◆「白い部屋の白いベッド
◆「求めるように僕は見入った
◆「足りないものを補うかのように
◆「ただ無知だった
◆「スキャンする気になれなかった
◆「
◆「思いがけぬ時間
◆「高松
◆「より正しく感じられた
◆「笑ったりした
◆「繋がる
◆「なっちゃんの時間
◆「求めたくて
◆「夜風と波音
◆「モーニングうどん
◆「浸透
◆「心の輪郭
◆「話し合い
◆「サイパンの空に




空と海
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  1. 2006/01/09(月) 00:01:09|
  2. 三本のポジフィルム
  3. | トラックバック:0

夏の手前 春の終わり

楽しいサイパン旅行だった。

初めての南国で興奮してシャッターを切った。
旅行から帰ってきてコダックの「ゆっくり仕上げ」でポジフィルムを現像に出した。
真っ黒に日焼けしたK先輩は旅行が「最高だった最高だった」と言っていた。

数日後ポジが戻ってきた。
三本のポジフィルム。
そこには南国の景色が煌めいていた。

K先輩に見せたら、「うぉ、さすがヒロシぃ~!ばっちしやなぁ~!」
と喜んでくれるに違いないと僕はポジを見ながらニヤニヤしていた。


夕方K先輩から電話がはいった。

「はい、もしもし」僕は電話に出た。

「おー、ヒロシ、今いいかぁ?」

「大丈夫ですよ」

「ヒロシ、おまぁ首いたぁねぇかぁ。
 サイパンでマッサージしてもらったろ、あれのもみ返しってやつみたいで、痛いんだわ。」

「僕はなんともないですよ。揉んでもらうときリアクションたくさんして伝えてましたから、ふふふ」

「そっか。俺もそのときは大丈夫だったんだけどな」

「僕はもみ返しって言葉を今知りましたよ、ふふ」

「そっか。うん、時間とって悪かったな、ほんじゃな」

あ、ポジフィルム見せに行くっていうの忘れた。って思った。








次の日の昼、父が僕にいった。

「K君が倒れたらしいぞ」



え?



「くも膜下で倒れたらしいぞ」




え?





夏が来る前、春の終わりの頃だった。
  1. 2009/09/27(日) 22:15:41|
  2. 三本のポジフィルム
  3. | トラックバック:0

外はもう暗い

僕は病院にいた。


親族の方の連絡により他の人も集まっていた。
K先輩が倒れたのは今朝の3時だったそうだ。
手術は14時から行われたらしい。
今は夕方の17時。

くも膜下出血。

猛烈に痛いときいたことがある。
手元に資料が回ってきた。

4割が即死、3割が重い後遺症、残り3割が社会復帰。

今生きてるってことは即死は免れたらしい。
しかし、とにかく早く手術をしたほうがいいと聞いたことがあるのに
なぜ手術がこんなに遅れたのだろうと思っていた。
どうやら血圧が低く、午前中血圧を上げる薬を投与して手術に望んだらしい。


どれだけ時間がたっただろうか
外はもう暗い。
湿度と重苦しい雰囲気がまとわりつく。
K先輩の弟さんが手術室のある2階から降りてきた。



「最後かもしれないから姿をみてやってください」
  1. 2009/09/28(月) 19:14:56|
  2. 三本のポジフィルム

痺れのような実感

重苦しい雰囲気の中、僕らは集中治療室の前にいた。
廊下はK先輩の仲間たちで埋まっていた。

ドアがあいた。

先輩がいた。

力なく開いた口にチューブが入ったK先輩が横たわっていた。
日に焼けた肌、目を閉じた先輩。


「K!帰ってこいよ!」
「Kちゃん、がんばれ!」
「戻ってこいよ!」


涙交じりの叫びが廊下に響く。

みんなに見守られながらK先輩を乗せたベッドは中央手術室へ入っていった。

先輩は本当に倒れてしまったんだ。
痺れのような実感が全身を覆った。
  1. 2009/09/29(火) 00:36:54|
  2. 三本のポジフィルム

白い部屋の白いベッド

これから3日間、頭を冷やす治療をする。

何度か集中治療室と中央手術室を往復したのち、僕らはそう説明された。
よくわからないけれど、とにかく最悪の事態は免れたらしい。
3日間頭を冷やす治療をするっていうのだから3日間は大丈夫なのだろう。

翌日の夜、面会の時間が作られた。
集中治療室というものにはじめて入った。

弟さんが「ヒロシ君だよね」と話しかけてきた。
弟さんを僕はこれまで認識していなかった。
たぶんあったことはあるのだと思う。
歩きながら話す。

3年前、僕がK先輩のいるグループに入ってちょっとたったときに
「ヒロシはちょっと違うんじゃない?」って話になったことがあったそうだ。
その時K先輩は
「そんなことはない、あいつは見た目じゃ分からんかもしれんが、あつ~~もんをもっとる」
と言っていたそうだ。

のどの奥が熱くて言葉がでなかった。



シュコン


シュコン


シュコン



たぶん呼吸を助ける機器なのだろう。
音にあわせて胸を膨らませる先輩が寝ていた。
よりいっそう白い部屋の白いベッドで白い布団をかぶって。
頭が向こうにあるので顔は見えないがK先輩に間違いなかった。

弟さんが言った
「兄貴、ヒロシが来たよ。ヒロシが来てくれたて。」

僕は見つめることが精一杯だった。
  1. 2009/09/29(火) 23:32:06|
  2. 三本のポジフィルム

求めるように僕は見入った

足


善光寺に来ていた。


おんなのこ


頭の中にはシュコン シュコンというあの病室の音が響いていた。

K先輩を見舞った翌日の日曜日、
めったに休日があわないトイトイさんと旅行する予定がはいっていた。
トイトイさんの車に乗って、善光寺にきていた。YSK(従兄弟)も一緒だった。

K先輩は驚く程人望があって、大勢の人が見舞いにやってきていた。
それは病院から注意がくるほどだった。
僕らの仲間は、面会を自粛することとなった。

この日K先輩は脳を冷やす治療を続けてるはずだった。


[求めるように僕は見入った]の続きを読む
  1. 2009/09/30(水) 19:50:53|
  2. 三本のポジフィルム

足りないものを補うかのように

K先輩には奥さんと小学校あがる前の子供がふたりいて
知り合ってからもらった年賀状はいつも家族写真だった。

一瞬心から去った想いが、家族の姿を見ると思い出される

よりいっそう家族の姿が強く写ってしまう。
子供

なんなんだろう。

人

どうすればいいのだろう。




[足りないものを補うかのように]の続きを読む
  1. 2009/10/01(木) 22:17:09|
  2. 三本のポジフィルム
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ロムスカ・パロ・ウル・ウナム

Author:ロムスカ・パロ・ウル・ウナム
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