
※九州国立博物館
夢中な行動がなにかを変えていく
長いエスカレーターを上る。
海遊館のエスカレーターも長いと思ったし
東京の大江戸線へのエスカレーターも長いと思ったが、
ここはもっと長かった。
そう、太宰府天満宮に隣接する九州国立博物館へのエスカレーターである。
光明禅寺を見た僕ら4人
飽きさせない話術!沙耶花さん
素敵なプレゼントありがとう!noaさん
輝く微笑!Kさん
勝手に歩き回って迷子!ウナム
混雑しまくりの大宰府天満宮を見学し、noaさんとKさんはここでお別れとなった。
僕と沙耶花さんは二人にすすめられた九州国立博物館へ行くことにした。
九州国立博物館は山の上にあった。
やわらかい曲線を持ち鏡のように反射する近代的で巨大な建築物があった。
手前に掘り込まれたような庭があったのでよりいっそう大きく見えた。
中に入ると近代的な中に伝統を感じさせる木造部分もあった。

※木造部分
このとき九州国立博物館では「本願寺展」がやっていた。
入ってみることにした。
「親鸞と仏教伝来の道」ってことで親鸞さんの書などがたくさん展示されていた。
お客さんもたくさん来ていて熱心に見まくっていた。
それはそれは熱心でガラスはすっかり手垢まみれになっていた。
しかし、時々係員がやってきて拭いて行くところがさすがは「国立」と思わせた

やはり書に詳しい方々が見学に来られているようで
「このハネ、このハネ方が親鸞さんなんだよな~」
って唸っている。
僕は「なるほど、この人が言ってることは『氷室京介は痛みと愛なんだよな』って唸ってる僕と同じ境地だ!」
と一人納得していた。
親鸞さん以外にも本願寺のお宝がここぞと並べられいた。
それはバチカン美術館で見ていたときに起きた
「芸術の洪水で見ているうちに本当にすばらしいのか良く分からなくなってしまう病」を引き起こした。
そしてこれもフィレンツェのミロのビーナスとかがあるウフィツィ美術館でも思ったけれど
作品の保護のためにライティングを抑えてあるせいか
なんか暗くてよく見えないっていうストレスがここでもあった。
僕が一番いいと思ったのは和紙の展示だった。
一枚の手紙にさまざまな色や金銀を織り交ぜた、それはそれは綺麗な紙だった。
一枚の紙、一回使われるだけの紙にこれだけの情熱が込められてるというのは
驚異的であり、すごい美的センスを感じさせた。
手紙というのは作品なんだなって思った。

※九州国立博物館一階
最後の方は、ほぼ20世紀はじめの話で、
本願寺の方が仏教伝来のルーツをもとめて中国から旅していく展示があったのだけど
その時もっていったカメラが展示してあって、それがとても大きくて驚いた。
情熱だなって思った。
熱狂的に繰り広げられる「本願寺」展
すっかり心は京都にトリップしていたけれど、ふと我に返った。
ここは九州だと。
僕は岐阜県に住んでいる。
京都は高速で3時間圏内である。
はっきりいって遠いわけではない。
なんかこの展示を見ていたらここが九州ということを忘れていた。
九州から京都ははるかかなただ。
僕は「ああ、あの本願寺ね」程度で見てたけれど
ひょっとして僕よりもここにいる人たちは京都に対する渇望ははるかに大きいのかもしれないと思った。
福岡に来て以来、佐賀の名護屋城で秀吉とか家康とか清正とかの名前をきいたりして
心は逆に故郷の中部地方を意識することになっていた。
それでいて本願寺である。
この旅はこの地方と地元のつながりを考えさせられることとなった。

※極彩色
九州国立美術館をあとにした僕らは、
今度はちゃんと各駅どまりではない電車で効率よく天神へもどった。
そして「モツ鍋」をほくほく食べたあと、三人展に再び顔を出し片付けを手伝い
沙耶花さんに見送られながら高速バスで名古屋を目指すのだった。

※4人(ちょっと失敗w)
バスの中で映画「解夏」が上映された。
目が見えなくなる病気の夫と妻の話である。
途中就寝時間がきて上映は中断した。
朝、眠気眼の中で上映が再開された。
朦朧とした中で見たせいか、終盤で僕は泣いてしまった。
なんかこの二日間は夢と現実の境目がわかない日々だったような気がする。
全力で到達し、全力で出会い、全力で撮影した。
無我夢中。
バスの中で寝たけれど、起きてもまだ旅の途中。
旅の中でだんだん自分という外側がぼやけてきて、
起きたときはきっとむきだしの自分がいたのだと思う。
映画のメッセージが無防備な心に入ってきた。

※感謝 @光明禅寺付近
僕には昔から強烈に自分を客観視する奴がいる。
そう僕だ。
そいつにがんじがらめにされてる僕を解放するっていうのが
ある意味この数年間やってきたことだった。
映画で泣けたっていうのは自分にとって驚きであり喜びだった。
きっと行動と出会いが徐々に外側の自分を溶かしていったのだと思う。
この福岡旅で出会った人に感謝。
福岡の土地に感謝。
また会いましょう。
ちなみにどこで泣いたかは内緒である。
「2007秋 福岡」編 完
- 2008/01/15(火) 23:45:06|
- 2007秋 福岡
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| コメント:26
大宰府行ったんやね♪
この博物館は,中に入ると,その巨大さを実感しますよね。
京都。僕の憧れの場所。
いつかは,舞妓はんと野球拳がしたい~
- 2008/01/16(水) 01:04:59 |
- URL |
- 那珂川流域 #X.Av9vec
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福岡での出会いは私にとっても、いい想い出でした
物静かなのは口下手だから・・・・
ゆっくり歩くのは、膝がいたいから・・・・・
こんなばあばに、よくぞ会ってくださって、ありがとう。
沙耶花さんにも会えたし~
素敵なお嬢さんでした。
又、お会いしましょうね。
いい写真をきっちりととらえているウナムさんに拍手です。
- 2008/01/16(水) 17:34:48 |
- URL |
- noa #-
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ものすごくいい出会いであふれていたんですね。
ウナムさんがまた一回りも二回りも大きくなったんですね♪
- 2008/01/16(水) 18:39:13 |
- URL |
- たっく #-
- [ 編集]
こんばんは^^
ウナムさんは どこに行っても良い旅をされてますね
ちなみに わたし 京都の本願寺さんを見て暮らしてましたよ^^
すぐ近くだったので^^;
そうそう 京都の私立の高校は 宗教の時間があったりします^^
- 2008/01/16(水) 21:50:32 |
- URL |
- みのりん #-
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なんかこの記事、好きです。
九州ってすごく遠いけど足をのばした甲斐がありましたね
4人の写真が素敵☆
毎日顔を合わせていた時代と今とは顔つきが全然違うなぁ・・・と最近思うようになりました。特に写真とか見ると、こんな風だったっけ???と思ったりします。旅と出会いを繰り返してきたおどごの顔ですねwこつこつ努力をしていけば、最後には実もなりますね。
- 2008/01/16(水) 22:47:19 |
- URL |
- someday #-
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ウナムさん、こんばんは~!
素敵な博物館ですね。
スケールの大きさが写真から伝わってきます。
楽しい時間を過ごせたようで、良かったですね。
勝手に歩き回って迷子になったらダメですよ(笑)!!
ウナムさんの旅行記は写真のトーンに統一感があって、
見ていて綺麗だし、素直に楽しめますよ!
- 2008/01/16(水) 23:01:49 |
- URL |
- photomo018 #74hMSxZc
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旅の心情を写真と共に綴るのは、「そのとき」よりも、旅から「帰ってから」の方が再確認するように鮮明になってゆくのですが、ウナムさんの場合はリアルタイムに感じることが多いのでしょうか?
繊細な心の動きをよくとらえていらっしゃいますよね。それはもうひとりの「僕」が居るからなのかな?
「解夏」は映画館で見ました。解夏(げげ)とは、仏教の僧が夏に行う「安居」という修行が終わる時のこと。見えなくなる恐怖と解夏=解放。みごとな映画ですよね。江國香織さんのエッセイに「心配ごとは、実際にそれが実現してしまうと安心する」みたいなことを書いてたのも思い出しました。
ウナムさんの旅の記録がたくさんの人たちの経験や心情にリンクするのって、すばらしいことですよね。
福岡にきてくださって、本当にありがとうございました。
- 2008/01/16(水) 23:50:20 |
- URL |
- akiyasu_sukiyasu #TJwWj8Lg
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長いエスカレーターは風がきつく吹いてきたりしません?
2008はウナムの風が吹き荒れる!
お疲れ様でしたw
- 2008/01/17(木) 01:59:29 |
- URL |
- ナオシー #-
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九州国立博物館というのが出来たことは知っていましたが、
これまで内部や外観の写真すら見たことはなかったので、
機会があればと思っていた気持ちが強くなりました。
それにしても旅の細かいことまでよく記憶していますね、常々もう感心です。
ウナムさんの抜群の記憶力もさることながら、
いろんなことに真剣に向き合っている証拠でもありますね。
- 2008/01/17(木) 08:43:10 |
- URL |
- K #6SlKZDlg
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こんにちわ!!
また素敵な出会いがあったんですね。その行動力には、いつも感心させられます。でも、九州までバスで行くとは・・・その忍耐力にも関心(笑)
次はどんなシリーズが来るんだろう。
楽しみにしています。
- 2008/01/17(木) 11:03:55 |
- URL |
- FSK-JP #-
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全力で旅をする素晴らしさって、もう忘れていましたが若い頃の自分を想いだしました。
太宰府は行ったのにここは見ないで帰ってしまいました。
体で経験しないと見えない事って多いですね。
常識だとか、知識のフィルターを剥ぎとり、“生”な自分と対面するには旅がいいですね。
- 2008/01/17(木) 12:01:29 |
- URL |
- kuma-boo #Zmd3Jbe.
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写真も。。。経験された旅の記事も素晴らしいって想います。。。
そして。。。それ以上に。。。
>僕には昔から強烈に自分を客観視する奴がいる。
>そう僕だ。
>そいつにがんじがらめにされてる僕を解放するっていうのが
>ある意味この数年間やってきたことだった。
>映画で泣けたっていうのは自分にとって驚きであり喜びだった。
>きっと行動と出会いが徐々に外側の自分を溶かしていったのだと思う。
こんな風に感じたウナム様の内面を。。。知れることって。。。ものすごい事だと想います.。.:*・゜☆
ウナム様の。。。ブログに。。。
心から。。。拍手を贈ります.。.:*・゜☆
(*^^)//。・:*:・°'★,。・:*:♪・°'☆パチパチ
とびきり素敵なブログの存在に。。。心から。。。
感謝しながら。.:*・゜゜・*:.。. .。.:*・゜゜・*:.。.。.:*・゜☆
記事。。。大感動させていただきました.。.:*・゜☆
- 2008/01/19(土) 00:23:48 |
- URL |
- あや #oYrJRb9Q
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