
そこに見えるはヘリコプター
僕はヘリの倉庫にいた。
ヒツジ草さんと分かれたあと、僕とユンさんはヘリを見に来ていたのだ。
なにを隠そうユンさんはヘリの整備師さんで、職場見せてあげるってことでやってきたはヘリ倉庫。
雪に埋もれた建築物の真っ暗で冷え切っている暗い空間に入った。
目の前の闇には広いと感じさせる空気があった。
バン!
ユンさんが倉庫の電源をつけた。
目の前にヘリがあった。

※かっこいい。
でっかいヘリコプターのコックピットに乗せてもらった。
計器がたくさんある。
「機動戦士ガンダム」のセイラさんとミライさんの会話を思い出した。
ホワイトベースの舵をとっていたミライさんにセイラさんが話しかける。
セイラ「代わりましょ。ケーキを見ているだけでいいんでしょ?」
ミライ「すいません、着陸の時までお願い」
セイラ「ええ」 .....
着陸までミライさんはケーキを見ているのか~
ミライさんはケーキを見ているだけでいいって、疲れて気持ちでも悪いのかな?
ダイエット中なのかな?
と当時の僕は意味不明な想像をしていた。
「ケーキ」が「計器」だと気づくのは中学も後半のことだった。
まぁ、たとえケーキだとしても一応休憩の交代という意味は通っているわけだがw

※ケーキがいっぱい
他にもウナム勘違い列伝には「汚職事件」を「お食事券」と勘違いしていたり (おいしそう)
大学生になるまで「冷たい豆腐」を「冷奴」ということを知らなかったり (だって母が固有名詞を教えてくれないから)
大学卒業するまで「白身フライ」を「しらみふらい」と読んでいたり (だって空が白むっていうじゃない)
まぁいろいろとあった。

※ウナム、ツァイスなイコン いっきま~す!
ユンさんにヘリを見せてもらったあと、僕はひとり会う人がいた。
トラさんって女性だ。
かつて彼女がトルコへ初海外一人旅をするってことで
なぜか僕がトルコに詳しい人ってことで紹介されて
長距離バスの乗り方とかいろいろ教えてあげたパソコン上の付き合いの人だった。
今回の奈良旅は3名ほどの方に会えますか?とアポイントを3日前ぐらい(遅い)からはじめたのだが
予定があったのは唯一トラさんだけだった。
トラさんは夜遅いのにもかかわらず寒い奈良までやってきてくれた。
トラさんとはそのアポイントをとっているときにしったのだけど、実は僕と接点がある人だった。
なんせまず年が一緒。
なんせ大学が一緒。
なんせ下宿が近く。
なんせ西北。
なんせハングリーウィッチ。
・・・だった!
数年前はそんなに近くにいたのね。ってな話で盛り上がった。
で、実際あって楽しく軽くお酒を飲みながら3人で話したわけだけど
もちろんトルコの旅行の話も面白かったけれど、一番関心をひいたのは彼女の今の職業だった。
彼女の職業は盆栽。
盆栽家?というのかはよくわからないけれど盆栽園で働いている。
というのも数年前に仕事をやめて盆栽園に就職した。
まぁそこにもいくつか偶然や経緯があって面白いのだけど長くなるのでカット。
彼女が盆栽を語る中で記憶に残っているのは
「盆栽というのは何百年という中の時間を買うの」
「盆栽には正面があるの、私にはまだわからないときがあるけれど」という言葉だ。
写真でも絵画でも大抵のものは自分の中で完成、完結することができる。
プリント・現像は写真屋さんとの共同作業だったりすることもあるけれど、完成を自分で見て納得する事ができる。
ところがどっこい盆栽っていうのはそうではないらしい。
盆栽を買う、育てるっていうのは長い盆栽の人生の中の一部分を自分に預けてもらうってことらしいのだ。
ふたつのことを思った。
1つ目は「完成がない」ということ。
盆栽の人生の一部を預かるというのは、その中で盆栽は完成することがないということだ。
僕は写真を撮るにことにおいて、シャッターを切った時点で90%完成していると思っている。
あとで加工するとか色調整は味付けに過ぎない。
ポジの場合は調整すらほとんどしない。
撮影の瞬間にできる限り完成に近づこうとシャッターを押す瞬間にギュッと凝縮するわけだけど
盆栽っていうのは、その瞬間がない。
逆に常に瞬間が続いているといってもいいかもしれない。
10年後を考えて枝を切ったり、曲げたりするという。
長い、ゆっくりとした時間の中でそのとき打った一手一手がゆっくりと、失敗すらも飲み込んで盆栽が成長していく。
瞬発力で生きている僕にはすごくあこがれる世界に見えた。
2つ目に思ったのは「最初の持ち主の意思」ということ。
多くの人の手を渡っていくとはいえ、その盆栽の方向を決定付けるというのは
一番最初に育てた人に大きく関わってくるはずだ。
ガウディのサクラダファミリアにしろ、ヨーロッパには何百年もかかって建築している建物がある。
作者がなくなってからもそれを受け継いでいく人たちに意図を訴えかける何かがある。
たとえ設計図がなくなろうとも、建物など「そのもの」が作者の意図を願いを現在の職人に伝え続ける。
それはすごいことだと思う。
そういえば僕は前もそんなことを記事にしたことがあった。
懐かしい記事はこちら→
続いていくこと ミラノのドゥオモで考えた
※ヘリのおしり
そしてもうひとつ「盆栽には正面がある」ということで考えた。
都市部にいくと思うのは、
この公園の作者はこの景観を意識して作ったのだなとか、この建物の見方はこうだなとか
計算されて、もしくは考え抜かれて作られているってことだった。
法隆寺でもそうだった。
すばらしい景観を発見したとき、作者もこの美に気づいていたのだなぁとシンパシーを感じるとともに
僕が美しいと思うアングル、配置、そういうものは作者が仕掛けた美に僕が気づいているに過ぎなくて、
ただ作者の手のひらで踊らされているだけなのかもと思うこともある。
しかし、そういうさまざまな美に気づくためには正しい場所、正しい見方をしないとわからない。
その前にその美に気づく感性が育ってないともっとわからない。
そういう意味で、盆栽の正面があるけれどわからないときもあるという彼女の発言は
とってもわかりやすくて興味深かった。
はたして僕も盆栽を見たときにどこが正面かわかるかとっても気になるし、
盆栽の作者の意思を汲み取った上で自分なりに育てていくって面白いと思った。

※やっぱ正面だよねw photo by ユンさん
そんな楽しい夜も終わり翌日、2月10日。
僕とユンさんはさらなるベタな奈良観光へ旅立つのだった。
予告

※神の使い
- 2008/03/12(水) 00:00:00|
- 雪の奈良
-
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-
| コメント:22
盆栽の魅力わかるなぁ。
あの小さくい体で何百年と生きていて、
自然の中で育っているようで、職人さんの手が細部にまで入れられている感じもこれまたたまらん!!
正面の美を理解してこそ、裏の美もわかるのね。
- 2008/03/12(水) 02:55:47 |
- URL |
- ma-ya #-
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おはようございます。
私も盆栽自体はまだよく分からないけど、
正面が分かるかしら?
少し心配です。
それから私も、ガウディーにもミラノのドゥオモでも、
人の受け継いでいく思いを感じました。
何かを伝え続けること、受け継いでいくこと、
タイムイズマネーでない価値観。
どうか私の中にも残っていますように。
なんてね、日々忘れがちかな?でも素敵な美意識ですよね。
- 2008/03/12(水) 07:04:56 |
- URL |
- cha2 #sSHoJftA
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完成してしまうと、それ以上がないので、ずっと完成に向かって未完成してることがある意味完成形なんでしょうなぁ。
好きなマンガが完結したり、1/24のガンプラが完成した後は、達成感以上に喪失感があったりしますが、盆栽は未完成ゆえの永遠のロマンなんですな。
TBも永遠のロマンを追い求めたいものですが…まずはロマンの元を探さにゃいかんです。
- 2008/03/12(水) 12:56:36 |
- URL |
- TB #SFo5/nok
- [ 編集]
盆栽には正面があるの、私にはまだわからないときがあるけれど
っていう言葉が印象的

- 2008/03/12(水) 16:38:17 |
- URL |
- あつこ #-
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あつこさんの次にコメントさせていただきます。
ウナムさん今日のお写真は誰でも見れる場所ではないですね(感激)

又ユン様は整備士カッコイイですね~~
ウナムさんの操縦姿カッコイイですよ!

akiyasuさん・naomiさんのブログはウナムワールドですよ!どの顔もいい顔してますよ!
盆栽のお話も勉強になりました。
神の使いもたのしみ楽しみ~~~~~
- 2008/03/12(水) 17:53:27 |
- URL |
- atsuko.f #-
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ヘリ、いいですね~♪
それに盆栽にはそこまで深い意味があるなんて、初めて知りました。
勉強なります!
- 2008/03/12(水) 20:39:43 |
- URL |
- たっく #-
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他人様の職場って、なんかワクワクしませんでした?
しかも、タケコプターじゃなかった^^ヘリコプター!
であれば、テンションあがりますねー^^
- 2008/03/13(木) 00:58:29 |
- URL |
- goodstar #-
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ケイキがいっぱい操縦席に憧れまする( ̄+ー ̄)
そしてモノクロに写ったピカピカボディーにドキドキなのです♪
- 2008/03/13(木) 13:13:26 |
- URL |
- あわてんぼうさん #-
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盆栽って、奥が深いのだろうなと思ってはおりましたが
思わず「う~~~ん」と考えてしまいました。
とっても深いのですね。
>逆にずっと瞬間が続いているのかもしれない
という言葉に、はっとしました。
何がどう はっと したのかはよく分からないのですけれど・・・。
ヘリコプターは空高く飛んでいるのしか見た事がないので
ものすごく興味津々で見つめてしまいました。
あらゆるバランスが、この姿にあるのですよね!
- 2008/03/13(木) 23:24:41 |
- URL |
- Fmi #3gnf69lI
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