立山の室堂にもむろん正しい地図がある。
しかし、その土地に関する感覚や思い入れ、印象などが入ったまた違う地図が心にある。
だから地図を描く。
自分の中にある地図を描く。
自分の中にある想いが逃げないように描く。
記憶に定着させるように描く
ここまで室堂へやってきて、雪道をくだり、地獄谷を歩いて、雷鳥沢を見下ろしながら再び上るところまで話を書いたが
一度僕の中にある室堂というものを描き出したいと思った。
だから描いた。
「一生懸命」描けたと思う。

※立山、室堂マップ
気持ちは乗せた。
みなさんに僕の室堂のイメージが伝われば幸いと思う。
僕は写真を撮るとき同じものを撮るのは3度までと考えている。
それは何かが逃げてしまうと思うからだ。
そのときの気持ち、衝動、勢い etc...
そういうものを込める手段として写真というものが大好きだ。
瞬時にそういうものを写真はギュッと掌握してくれる。
無意識ごと抱きしめる。
逆に絵というものは難しい。
その気持ちを書いている間持続しないといけないからだ。
「一生懸命」はよくある言葉だが、これを自信もっていえることが大事だと思う。
ただ実際の地形とは違うと思う。道も詳しい人が見たら違うと思う。
しかし自分の中では世界はこうできている。
そしてそれでよいと信じている。
ちなみにいままでの行程は、室堂のターミナルからスタートして、立山玉水、みくりが池
そして坂道を下って地獄谷、ぐるっと回って坂を上って雷鳥荘までもどってきたという具合だ。
いままでこのブログに乗せた絵は大抵一発で描いたのだけど、今回は一回失敗した。
それも載せる。

僕は数年前に過ちも含めて自分の歴史だと正面から受け入れようと決めた。
だから多少失敗したり、不完全だとしても、それを認めて、そこに愛にも近い熱意で最善をつくして納得する。
しかし、上の絵はちょっと違うかなと思って途中でやめた。
室堂を山が囲んでいる感じを出そうとして失敗。
剣岳を気持ちだけで書いて失敗。
そしてとどめに地獄谷のへんてこな煙を書いて、その違和感に挫折。
さすがにこれは僕の室堂じゃないと思った。
おかげで最後はペンのインクの出具合を確かめる紙と成り果ててしまった。
しかしそこでこれは違うと思いながら描きつつ次の紙に描き出すビジョンを生み出した。
一生懸命の残骸が次につながる
そういう意味もあってこの絵も愛しくて捨てられないのだった。
時期がくるまでとっておこう。
- 2008/08/22(金) 00:00:51|
- 2008.7 立山を突き抜けて
-
| トラックバック:0
-
| コメント:18
私、絶対、こんなの書けない。。。
写真もさることながら、素晴らしい絵だね。。。
旅を楽しんでいるっていうのが、ものすごく伝わってきます。
- 2008/08/22(金) 01:09:11 |
- URL |
- goodstar #-
- [ 編集]
このウナムさんが書いた山がまさに本物のように見えていて~感心します!!XXXD~
いったいどうやってこれほどできたんでしょうか?
- 2008/08/22(金) 01:14:38 |
- URL |
- りん #-
- [ 編集]
絵もセンスありますね。
なるほどってよく分かりますし、思いも伝わりました。
写真は私もなぜか同じシーンを何度も撮れません。
- 2008/08/22(金) 06:41:43 |
- URL |
- cha2 #sSHoJftA
- [ 編集]
書こうとしているイメージがどんどん膨らんできて、最初と全然違うイメージになる事があります・・・
写真は最初にイメージを掴んだら、そのイメージを追いかける感じでしょうか・・・
東山魁夷の絵は写真にも似た感じがありますが・・・
美術館で名画と言われる絵を鑑賞するのも良い修行になりそうです・・・
でも、私に絵は描けそうにありません・・・
- 2008/08/22(金) 07:54:04 |
- URL |
- 我楽多 #kTvoSsVA
- [ 編集]
〝同じ物を撮るのは三度まで〟
私には重い言葉で、耳が痛い言葉です
どうしても目つぶりが気になるので、1シーン3シャッター位切っちゃいます
〝気持ち、衝動、勢い〟を大事にする
さすがウナムさんです。
- 2008/08/22(金) 08:44:50 |
- URL |
- ナテュール #SFo5/nok
- [ 編集]
確かに過ちも自分なんだけど
私の失敗は時に、もう恥ずかしすぎて
丸めて葬り去りたくなっちゃうものがあるんだよね~
何年か経つと、そんな失敗をした自分が可愛く思えることもあるんだけど・・
一枚目の絵、素晴らしい!
でも、ウナムさんの文章読んでいると、2枚目の失敗の方もなんだか愛おしくなってくるね・・
>ペンのインクの出具合を確かめる紙
「御苦労さま~」
って紙に言いたくなってくる・・
- 2008/08/22(金) 11:21:37 |
- URL |
- さらみ #-
- [ 編集]
世界には、決して不変的なものはないと思います。ウナムさんの絵、私には確かに一つの景色として、感動的に感じました。
- 2008/08/22(金) 12:32:40 |
- URL |
- たっく #-
- [ 編集]
最後の、時期がくるまでとっておこう・・・っていうの、
わたしもよく思います。
過去の失敗を証明するものも、愛おしさを感じて捨てられない対象も、不思議なことに、いつの日か手放してもいいと思う時がちゃんとやってきますね。
その時というのは、必ずしもそのものたちが自分自身にとって価値を持たなくなるときではないのですけどね。
そのときが来るまで・・・と考えながら、わたしはたくさんしまいこんでいます。
- 2008/08/22(金) 23:45:06 |
- URL |
- someday #-
- [ 編集]
いい絵だね~♪
山の力強さがなんとも言えない(^^)
何回も見に来ちゃいました。
ウナムさんは何も見ないでこの絵を描くの?
私は写真を見ながらじゃないと描けないから、すごいな~。
失敗作の「とどめのへんてこな煙に挫折」って表現がちょっとウケました。
頭の中で熟成させて爆発させる感じが、
写真の撮り方にも出てるのかもしれないね~。
手書きの地図を見てますます行きたくなりました♪
ねえねえ、お花は咲いてるの?!
- 2008/08/23(土) 17:59:00 |
- URL |
- ヒツジ草 #nKD1BgzM
- [ 編集]