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ウナムのまなざし

せっかく撮った写真だから、公開してみよう。 

守られる景色  BURANO

元気をくれる景色


色に満ちた島ブラーノ。

美しくて、楽しくて、わくわくする島。

なにより元気になれる。



島を散策していると、海辺の家でおじさんたちがペンキ塗りをしていた。

どうやら地元の漁師さんのようだ。

自分の家のペンキを塗っている。

ピンクのペンキを家にベッタベッタと塗っていた。



それが僕をうれしくさせた。








観光地って何だろうと考えたとき

ひとつは風光明媚ということで自然を見るということがあると思う。

また観光地として、伝統的な町並みを売りにしているところは多い。
フィレンツェなんて町並み保存で有名だ。
もちろん、ここヴェネツィアもそう。


旅をしていて何に出会いたいか。
それはそこに息づいている文化ということがまずいえると思う。
その中で伝統的な町並みというのは結構大きな部分をしめる。



しかし、今の時代、昔ながらの家に住むということがいかに不便か。
近代的な断熱構造の家のほうがいいし、トイレがあったほうがいいし
台所は広い方がいい。
合理的で、きれい(clean)で、機能的なほうがいいのだ。
統一された景色っていうのも、もとをたどれば、それでしか作れなかったというだけのことだったりする。



グローバリゼイションという大きな画一化の流れの外にあるのは
こういう観光地、
伝統を感じる風景ということになる。


しかし、こういう町もただ昔の家が残っているわけではなく
観光あっての景色なのだ。



その土地の気候、資源、技術。
本来はその土地の人々の生活から出てきたはずの景観が、
いつの間にか、守るべき景観になってしまっている。
しかも観光がないと成り立たない。



生活から乖離した景観。
フィクション。




そういう文化を見ると、僕は極端にいうと

「死んだ文化を見ている」

とすら思ってしまう。

もしくは

「博物館文化」と感じる。





伝統的な外観を、現代の感覚の人が、その姿だけを守ろうとする状態。
これが非常にむなしく感じる。


もちろん景観を守ることはたとえ「博物館文化」であろうと意味はある。
伝統とは大切だと思う。
一度壊した伝統はもとにもどらない。

伝統の作法や建築様式から当時の人々の生活がよみがえる。
とても大切なこととわかっているし
僕自身もそういうのを見るのが確かに好きだ。
ときには自分のアイデンティティを蘇らせてくれる場合もある。


その一方でむなしさを感じてしまう。
僕らが求めていく懐かしい景色、伝統的景観は
すべて失われた文化の抜け殻ではないかと。
そしてそこでの営みは現代の自分たちの生活とは違う人々のただの模倣に過ぎず、
ただ保存だけを目指し、その上を、創造性を消し去られた営みではないのか。




そんなときこの島のペンキを塗る様子を見た。

でも、漁師という、観光業に携わってない普通の人が

日常として、この景色を生み出している様子を。



それが僕はうれしかった。




細道

※どの通りもしっかりと色が塗られていた



次回:ブラーノ島第3弾でございます。まだちょこっとだけ続くのじゃよ。
  1. 2006/06/28(水) 00:34:33|
  2. 2006年トルコ イタリア スイスの旅
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:29
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コメント

行ってみたいな

ホントいいところですね。すっかり気に入りました。
「ちょっと行ってこようかな。」
なんて言ってみたいな。
  1. 2006/06/28(水) 00:52:31 |
  2. URL |
  3. k2dmd #7odBF5ps
  4. [ 編集]

見れば見るほど、魅力的な街ですね♪
写真を撮ってると楽しくて仕方ないんじゃないでしょうか?

観光地の街並み景観保存、あれは僕も面白くないです。
対して、大都市の裏路地にある古い街並み、こっちはとても面白いです。
生身の人間の生活観に溢れていて、エネルギッシュで。
僕にとっては限りなくノスタルジックで。
でも、僕の腕ではまだまだ撮れないんですよね。がんばろっと♪
  1. 2006/06/28(水) 09:14:14 |
  2. URL |
  3. ダポン #-
  4. [ 編集]

シンガポールにも色とりどりの家が(商店だったかも)があったけど、ブラーノ島は生活観があって魅力的ですね。
写真もだけど文章もいいですよね。
いつもつい読んじゃいます(^^)
あ~見てみたくなってきた。
  1. 2006/06/28(水) 10:26:26 |
  2. URL |
  3. maーya #-
  4. [ 編集]

あたい 路地 が好き

だって

大好きな人が 

そこに いるから
  1. 2006/06/28(水) 10:27:47 |
  2. URL |
  3. がばちゅ #-
  4. [ 編集]

お返事

>k2dmdさん
ちょっとブラーノまで行ってくる
って距離にあると、すばらしいですね。
毎日でもいきそうです。


>ダポンさん
町並み保存っていうのは確かに大切で
そこにいくとうれしい景色があることはあるのですけど
よ~く考えると、う~んとなるとこがあるんですね。
今を生きる景色という意味では、
都会の路地裏なんかのほうが魅力的かもしれません。
で、そのうち、その路地裏を保存しなくっちゃってなったりしてね(笑


>ma-yaさん
そうなんです。
ブラーノはまだ生活のにおいがあるんです。
そこがいいのかも。
文章までちゃんと読んでもらってとってもうれしいです!!
ありがとう。


>がばちゅ
路地裏
君は本当にそこが好きだね。
確かに魅力的。
旅は人ですね。
  1. 2006/06/28(水) 12:30:31 |
  2. URL |
  3. ウナム #-
  4. [ 編集]

旅行先で、その先々の人の生活をかんじることができると嬉しくなります。綺麗なものだけでないのですけどね。。
確かに「博物館化」してしまい、創造性を消し去られた営みも感じることがあります。
だけど、はるか下の記事のエアスプレーでの落書きは許せないです。
保守的な考えを打破できない自分がここにいます。
守りたいものを守っている人たちの気持ちも大切にしたいと思います。
美しいからとくにそうやって考えます。
わたしは芸術家にはなれないのだろうなぁ... なんちゃって^^
  1. 2006/06/28(水) 13:31:53 |
  2. URL |
  3. ねぼすけ #-
  4. [ 編集]

不思議なところですね。
ひとつひとつの色は強烈なんだけど、
なぜか調和して見える風景・・・
それってやっぱり、生活感があるからだと思う。
ブラーノ、いつか行ってみたい☆
  1. 2006/06/28(水) 14:31:13 |
  2. URL |
  3. dvgmola #.6ktWdU2
  4. [ 編集]

病気はだいぶ良くなりました(笑)

綺麗な町ですね。トルコのイスティクラル通りも
カラフルな綺麗でカワイイ建物はありましたけど
ここは街全体なの?

日本にもこのくらいの遊び心を持った観光地が
あってもイイのにねー
  1. 2006/06/28(水) 16:57:44 |
  2. URL |
  3. れお #-
  4. [ 編集]

町並み保存は現地の人たちが無理せずできれば一番いいかと…
古い建物を守っていくには、結構苦労があるとおもいます。
それが観光目的でも、住んでいる人にとってよければ、いいんじゃないでしょうか…
なんて、えらそうに言ってしまいました。

おじちゃんがピンクのペンキを塗っている…
ほほえましい風景だったのではないでしょうか?
  1. 2006/06/28(水) 18:55:19 |
  2. URL |
  3. fumifumi #-
  4. [ 編集]

いろんなお国に行かれてるからこその
ご意見なんだなと思いました。
実際、目で見てその場所の雰囲気を
確かめてみないことには分からないものですよね。
そのように感じられるウナムさんが少し
うらやましく思えました。
感じ取る気持ちがあること。
きっと写真にも出ててるんだと思います。
まさしく“ウナムのまなざし”ですね。
  1. 2006/06/28(水) 19:30:39 |
  2. URL |
  3. 沙耶花 #-
  4. [ 編集]

お返事

>ねぼすけさん
スプレーは基本的には許せない部類です。
部外者がいいと思うことはあっても
壁を直すのってすごいお金かかるし
せっかく長い時間とお金をかけて保存しても
スプレーのひとふきで台無しにされるってそれはいけませんね。


>dvgmoraさん
生活から出た景色っていうのは自然で
それでいてまとまりがあります。
いろんな色がある町がそこに住む人にとっては
普通なんでしょうね。


>れおさん
元気になられたようで、一安心です。
ここは街全体というより島全体です。
ちっこい島ですけどね。
色とりどりという統一感があります。


>fumifumiさん
そうなんですね。
住んでいる人にとって良ければ、それで良いのです。
けれど異文化というものをまじめ~に考えた場合、
こんなような壁にぶつかってしまうのですね。
本当の文化ってなんぞや?って感じで。
僕の求めるものはこれだっけ?って感じで。


>沙耶花さん
なんていうか、うまくまとめましたね(笑
やはりその土地に行ってはじめて感じることばかりです。
それが維持された景観であろうと
なんだろうと経験しないとわかりませんね。
また旅行いきたいな~(時間ないけど。。)
  1. 2006/06/28(水) 21:36:01 |
  2. URL |
  3. ウナム #-
  4. [ 編集]

旅先で感じた気持ちを、 少し時間がたった今、
ウナムさんが「自分の言葉・自分の思い」として発信している・
そのことが素晴らしいと思います。
  1. 2006/06/28(水) 21:48:20 |
  2. URL |
  3. スクェアcat #d3xRQPUk
  4. [ 編集]

へぇ!漁師さんもペンキ塗りするんだ?!
この街はかわいくて素敵だけど、そういうところもまたいいね☆
暖かい雰囲気がカラフルなおうちから伝わってくるな~!!!
  1. 2006/06/28(水) 22:36:15 |
  2. URL |
  3. ちづ #-
  4. [ 編集]

お返事

>スクェアcatさん
ありがとうございます。
そういってもらえると本当にうれしいです。
これからもみなさんに
自分の言葉で思いを伝えていきたいです。


>ちづさん
そう、のんびりした島なんです。
暖かい雰囲気が伝わってよかったです。
漁師の島なんですよ
船もたくさん泊まってますしね。
  1. 2006/06/29(木) 00:02:01 |
  2. URL |
  3. ウナム #-
  4. [ 編集]

水辺に立ち並ぶ家々がカラフルに塗られている光景は、ちょっと北欧を思い出しました。
でも鮮やか系の色合いばかりなのは、さすがイタリアってとこでしょうかね(^^)
  1. 2006/06/29(木) 23:05:19 |
  2. URL |
  3. ベルニナ #-
  4. [ 編集]

これまた素晴らしい!!!!!
  1. 2006/07/02(日) 12:49:11 |
  2. URL |
  3. チー・トイトイ(旧ストレス顔) #-
  4. [ 編集]

お返事

>ベルニナさん
お返事おくれました。
国柄っていうのもありますよね。
でもここまで色があるのはイタリアでも珍しいです。
北欧いきたいなぁ~~

>トイトイさん
そうなんです。すばらしいんです!
  1. 2006/07/02(日) 13:26:21 |
  2. URL |
  3. ウナム #-
  4. [ 編集]

こんばんは

コメントありがとうございました。
最初から読みきりました。どれも見事な写真に面白くて読みやすい文章、本当にうらやま・・いや素敵です。
2時間くらいかかりましたが、まるで共に旅をしているようであっという間でした。
特にこの「守られる景色  BURANO」の投稿が印象に残りました。ハッとさせられる文です。
しかし・・・旅の規模といい写真の美しさといい、度肝を抜かれます。

  1. 2006/07/14(金) 01:58:01 |
  2. URL |
  3. コウノスケ #-
  4. [ 編集]

お返事

>コウノスケさん
最初から読んでもらえてとってもうれしいです。
わかりやすく、読みやすいことはすごく気を付けてますね。
2時間も、、本当にありがとうございます!
(2時間かかるっていうのも新しい発見ですけど)
この話はちょっとほかのとは毛色が違う話ですね。
伝わったようでうれしいです。
またのご訪問お待ちしてます!!僕もいきますね!
  1. 2006/07/14(金) 18:04:59 |
  2. URL |
  3. ウナム #-
  4. [ 編集]

「博物館」のペンキ塗り

ブラノ島も観光地だよ

キャッシュディスペンサーには
日本語で『いらっしゃいませ』って書いてあった

ここの漁師も観光向けにペンキを塗ってるって言ってたよ(実話)



もっと表層的に物を見るんじゃなくて、本質を見なくては・・・

あなたのアイデンティティはなかったかもね

「博物館」のペンキ塗りを見てたんだよ

悲しい事だが、これが現実なんだよ

ミッキーマウスには人間が入ってるんだよ
  1. 2008/09/17(水) 15:15:52 |
  2. URL |
  3. s #-
  4. [ 編集]

>sさん
そうですよね。今思えばそうですよね。
でも当時の僕にはそれで十分だったんですよね。
ミッキーの中が人間と知ってもそれまではミッキーに育ててもらったわけで
ミッキーの中が人間としったあとでも愛せる人は愛せるわけで
僕も当時に比べるとおおらかになりました。
たとえ観光だとしても、今はもっとおおらかに見ることができますね。
ただ、あのタイミングで、ちょっと賢そうにグローバリゼイションなんてつかっちゃっているようなタイミングの自分で
この光景に出会えたことはとってもよかったなと思います。
純粋な何かに出会えるのはうれしいことには変わりないけれどもっと見るべきものはもっと身近にあるような気が最近はします。
また数年後どう思うかは分かりませんけどね。
コメントありがとうございました。おかげで懐かしい文章を見直せました。
  1. 2008/09/17(水) 18:19:32 |
  2. URL |
  3. お返事ウナム #A8BJpryA
  4. [ 編集]

もちろんオレも Buranoに行って純粋にミッキーに会えたと思った。

むしろ、人間が入ってるなんても思わなかった。

都会の路地裏は、実は大通りなのかもしれない

ただ自分だけが知らないだけで・・・

そこの国のアイデンティティーを見たいなら、博物館から出なくてはいけない。

自分では博物館から出たつもりでも、実はまだ博物館の中にいるのかもしれない。

それは、自我の視点を少し変えるだけで今の身の周りの環境が違う世界に見えるかもしれない。
  1. 2008/09/17(水) 19:02:16 |
  2. URL |
  3. s #-
  4. [ 編集]

>sさん
そうですね。
確かに今思えば、船が着いたとき船員さんがBurano!って大きい声でパフォーマンスするし観光が成り立ってましたね。
buranoも離れてるとはいえベネチアから30分でセットみたいなものですし。
もっと長期に滞在して言葉を多少扱えないと本当の部分にはたどり着けないでしょう。
ただここが博物館かどうかはそのときは分からないことが多いのですよね。
それは現在進行形で、出会って考えて疑って振り返って突き詰めての繰り返しで、これからもそうなんでしょうね。
良い意味でも悪い意味でもコロリと見え方が変わることがありますね。
寂れた路地が夜いくと驚くほど輝いているように。
  1. 2008/09/17(水) 21:05:15 |
  2. URL |
  3. お返事ウナム #aZfNV8aI
  4. [ 編集]

見るべきものはもっと身近にあるよ

何か遠い国に行き、そこに何か求めても自分の視点を変えないとそこは今の環境と何もかわらない

出会って考えて疑って振り返って突き詰めての繰り返しをしても、同じ選択しかできないのでは

寂れた路地は輝いてはいないよ

だって、そこは博物館の中の大通りだから
  1. 2008/09/18(木) 14:01:32 |
  2. URL |
  3. t #-
  4. [ 編集]

>tさん
言ってること分かったつもりでいたけれど、
上のコメント読むとちょっと僕が意図を理解してないのかなって気がするので
しばらく博物館の大通りということを意識して生活しようと思います。
ただ、遠い国に何を求めてるってことは今はないですよ。
あなたの言葉は何かヒントをくれているように聞こえるのですけど
抽象的でまるで小説のような言葉なのでいまいちとらえきれません。
よかったらEメールにでもあなたの経験談かこういうことだという写真か作品かなにかをみせてもらえればありがたいです。
  1. 2008/09/18(木) 14:26:28 |
  2. URL |
  3. お返事ウナム #A8BJpryA
  4. [ 編集]

何を写して見せても、どのように写して見せても、写真そのものはつねに目に見えない。人が見るのは指向対象であって、写真そのものではないのである
『明るい部屋』 ロランバルト


日記は自分の内部に起こりつつある事を、はっきり当人に知らせてくれる
『嘔吐』サルトル


作品を紹介しておきます
http://unam0109.blog51.fc2.com/blog-entry-486.html
  1. 2008/09/18(木) 16:52:43 |
  2. URL |
  3. あわてんぼうさん #-
  4. [ 編集]

>あわてんぼうさん
・・・

いろいろ考えて出て引っ込んで最終的に出てきた言葉は

ありがとうございます
  1. 2008/09/19(金) 00:09:34 |
  2. URL |
  3. お返事ウナム #aZfNV8aI
  4. [ 編集]

もう一度考えみな

そのセレクトでいいのか


http://blog-imgs-19.fc2.com/u/n/a/unam0109/20080917234139.jpg
  1. 2008/09/19(金) 19:14:56 |
  2. URL |
  3. しざなまのムナウ #-
  4. [ 編集]

>しざなまのムナウさん
確かに「いいけど・・・ぽくないね」のようなことは数名から言われましたねw

  1. 2008/09/19(金) 23:58:31 |
  2. URL |
  3. お返事ウナム #A8BJpryA
  4. [ 編集]

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